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【コロナ対策】小規模企業共済の資金繰り対策としての活用法
小規模企業共済から資金を引き出す方法
小規模企業共済で資金繰りを改善する方法は3つあります。
- 掛金の減額
- 契約者貸付(一般貸付/緊急経営安定貸付)
- 解約
最初に「掛金の減額」を考える
小規模企業共済の掛金を、毎月払っている方は、まずは掛金の減額を検討下さい(倒産防止共済も同じですが、書き忘れてしまいました)。小規模企業共済の掛金は、500円刻みで月1,000円~70,000円の間で自由に設定することが出来ます。必要な資金の額にもよりますが、毎月の資金繰りの補填という意味では、減額で対処出来る場合もあると思います。小規模企業共済で7万円を1,000円に減額することで月間6万9千円の捻出、倒産防止共済で月額20万円を5千円に減額することで19万5千円の捻出となります。合計26万円を減額すれば1年間で312万円を作り出すことが出来ます。
どちらかというと、こうした現状の修正よりも、新しいことをして打開することを考えがちな中小企業の社長にとって、減額は盲点になるかもしれません。現に、このわたしが倒産防止共済の記事を書いている時には、減額することを忘れてましたので^_^;
流血しているヒトを見かけたら、輸血より先に止血が原則です。
減額で足りない場合は「契約者貸付」を検討する
小規模企業共済は、そもそも中小企業の社長のための公的な退職金制度です。引退後の生活資金を準備するための制度なので、解約は最後の手段として取っておく必要があります。そこで、減額の次に考えるのは契約者貸付の制度です。考えられるのは次の二つの貸付制度です。
- 緊急経営安定貸付
- 一般貸付
緊急経営安定貸付について
観光業や飲食業などのコロナウィルスの影響をもろに受けている業種の方は、緊急経営安定貸付の利用を検討されてはどうでしょうか?掛金の範囲内(掛金納付月数により掛金の7~9割)で、50万円以上1,000万円以内(5万円単位)で借入れをすることができます。
借入期間は、500万円以下の借入の場合は36か月以内、505万円以上の借入の場合は60か月以内で選択出来ます。また、金利は、年0.9(2020年3月8日時点)で、金融機関からの融資と比べても若干有利な金利ではないか?と思います。普通の借入と違うのは、返済方法で、6か月ごとの元金均等割賦償還となっています。6ヶ月毎に返済すれば良いので煩わしさはない反面、半年間は借入元本が減らないので、その分金利負担が増えます(とはいえ0.9%ですので、たかが知れています)。
最新の情報はコチラのご案内ページで確認下さい。
一般貸付について
借入に特に条件はありませんので、どなたでも利用出来る貸付制度です。借入に条件がないということで、申し込みから資金化までが早いのが特徴です。借入窓口登録をしていない場合は、商工組合中央金庫(商工中金)の本店または支店で借入れの手続きを14時までに行うと即日資金を持ち帰れます。その他の金融機関の場合は、借入れの申込みから資金交付まで2~3日程度の日数が必要です。2〜3日でもかなり早いので、急な資金需要に対応出来る制度です。
緊急経営安定貸付に対して不利なのは金利です。現在の金利は1.5%(2020年3月8日時点)です。だいたい、中小企業の借入金利としては普通だと思いますが、条件にあてはまって、金利に拘る方は緊急安定貸付、そうでない方は一般貸付の選択で良いのでは?と思います。
その他、最新の情報はコチラのご案内ページで確認下さい。下記は、他の税理士事務所のホームページですが、非常に丁寧に貸付手続について書いてありますので参考になると思います。
【参考】税理士法人Sofa 小規模企業共済の「一般貸付」を受けるための具体的な方法
最後の手段「解約」
減額や貸付ではどうにもならない、そういう判断に至った場合には、解約もやむなしと思います。コロナ対策として解約する場合は「任意解約」に該当し、「解約手当金」を受け取ることになります。
解約手当金がいくら受け取れるか?は、下記の手続で調べることが出来ます。いくら解約金が受け取れるかは関係ないという方は飛ばして頂いても良いと思いますが、それ以外の方は下記の手続で金額をまず把握されるのが良いと思います。
解約の手続の流れはコチラのページにあります。
解約手当金の使い勝手の悪いところは、入金されるまでに3週間かかるということです。3週間待てる場合は良いですが、それよりすぐに資金が手に入る一般貸付の方が、緊急の資金繰り対策としては、使い勝手が良いと思います。
小規模企業共済が好きになりました。
今回、この記事を書くために色々と調べて、小規模企業共済が好きになりました。特に「一般貸付制度」は側近で資金調達出来るので凄い制度ですね。今回、お伝えしたコロナ対策の中でも大本命と言っても良いと思います。
ここまで3回に渡って、コロナウイルスの影響で資金繰り難になった場合の対処法をお伝えしてきました。第1回目の冒頭にも書きましたが、節税対策の本質は、税金を減らすことではなく、未来の経営が苦しい時に、払わなかった税金を自社の経営に役立てることにあります。いわば「自己責任」を果たすということです。政府も色々とコロナウィルスの影響を軽減する対策を立てていますが、自社がその恩恵を受けられるかどうかは解りません。
何年先か解りませんが、経済が建て直るときが来るでしょう。その時、今回の経験を忘れないでいて欲しいです。・・・という話をいつもしています。リーマンショックがあった後、東日本大震災があった後も、しています。皆さん好景気に浮かれすぎです。わたしはリーマンショック1回で変われました。皆さんは今回で学習して、自己責任を果たせる経営に舵を切りましょう。わたしがお手伝いします。