代表ブログ
コロナ禍の税務調査の特徴について
こんにちは、公認会計士・税理士の山口真導です。
税務署では7月から事務年度が始まることから、税務調査の最盛期は7月から12月です。これからその最盛期に入る税務調査の日程調整の電話が入ってくる時期になります。それに備えて皆さんにコロナ禍の税務調査の特徴について、お伝えしておきたいと思います。
1.コロナ禍の税務調査の状況
コロナ禍の税務調査は、これまで以上に慎重な対応が必要だと思います。
というのも、コロナ感染予防対策を徹底するために、実地調査の件数が減る分、調査先の選定はより効率を重視して行われているし、調査手続も厳格に実施されると予想されるからです。実際、どうだったのか直近の調査実績の概要をみて、確認してみましょう。
1-1.令和元事業年度の法人税等の調査実績
令和2年11月に令和元事業年度(令和元年7月~令和2年6月)の法人税等の調査実績の概要(以下、概要)が公開されています。
こちらをみると、実地調査の件数が前年対比77.1%と激減しています。第1回目の非常事態宣言の発令が4月7日だったことを考えると、下期(令和2年1月~6月)のうち4月以降は実地調査をほぼ出来なかったということが窺い知れます。平成25年の国税通則法の改正によって、税務調査の事務手続が煩雑になった際には調査件数の減少が見られましたが、それ以降は、実地調査件数が上昇傾向であったことを考えると、コロナ禍の影響がかなりあったといえるでしょう。
1-2.不正発見割合
上記の図の中で8番の不正発見割合を見てみると21.6%となっており、前年比0.5%増加しています。これは5社に1社以上の割合で重加算税が課税されていることを意味します。個人的な感覚としては、そんなに不正を働いている会社が多いとは思えませんので、経営者や経理担当者が追徴税額ゼロの重加算税を、実害がないと誤った認識で受け容れた結果ではないかと思います。見方を変えると、そこに持ち込むように調査官が巧妙に調査交渉をすすめた結果です。
1-3.追徴税額の状況
実地調査の件数が減る一方で、調査1件当たりの追徴税額については、毎年増加しています。(この1件当たりの追徴税額は法人税・消費税・源泉所得税の総額で計算していますので最初の図の数字(法人税のみ)とは異なります)。
1-4.どう対応するか
こうした結果から、国税が調査先の選定においては、調査必要度の高い法人に的確に絞り込み、実地調査にあたっては厳正な調査を行っていることが読み取れます。税務調査の日程調整の電話がかかってこないのが一番なのですが、そのコントロールは納税者の側では出来ません。
日頃の行いを正して天に祈りつつ、もし電話がかかってきたら、これまで以上に心して対応しましょう。
2.コロナ禍の実地調査について
コロナ禍の実地調査はこれまでと違って短時間で行われます。国税庁が税務調査再開前の令和2年9月に「国税庁における新型コロナウイルス感染症の感染防止策について」を公表し、その中で「職員の人数や滞在する時間を可能な限り最小限にする」と定めているからです。
わたしは令和2年10月に相続税の税務調査の立会をしましたが、ここに記載されている事項に加えて、高齢者や持病をもっている納税者との接触を避ける配慮がなされていました。具体的にはご高齢の相続人(奥様)がおられたのですが、奥様のご自宅への立ち入りだけでなく、奥様に対する対面による質問もお断りさせて頂きました。コロナ前であれば、僅かな時間であれ、ご自宅を訪問するのが普通ですし、奥様に直接質問するのが普通です。これはコロナ感染予防対策としては当然のこととはいえ、相続税の税務調査としては異例の対応だと思います。
これを法人の調査に置き換えると、社長が高齢だったり持病がある場合や、社内にコロナ感染者や濃厚接触者がいる場合には、同様の対応が取られると思いますので、調査の連絡がきた場合には、自社の状況を整理して税務署に伝えて、どのような体制で調査を進めていくかを相談するようにして下さい。
3.コロナ禍の税務調査における心得
令和2年10月に公開した「コロナ禍の税務調査対応の留意点」という記事があります。今回取り上げた概要をみても、その時に書いた内容で税務調査対応すれば大丈夫だと思いました。是非、そちらもご覧下さい。
ところで、税務調査が心配になるのは、節税対策をしているからですか?
そういう社長も多いと思いますが、その考えは間違っています。なぜなら、節税対策をするということは利益を圧縮することになるので、税務署から見て、税務調査対象としての魅力を削ぐことになるからです。その証拠に、弊社のお客様に対する税務調査は、とても少ないです。
節税対策が税務調査対策になるとしたら、わたしの節税セミナーを聞かないということは、税務調査を呼び込んでしまうかもしれません(言い過ぎ?w)
毎月3回、毎月1回は土曜日も開催していますので、是非、参加下さい。
次回は5月22日(土)です。
セミナー
社長の手取りをトコトン増やす。社長向けセミナーを開催します
もし、節税対策の目的が「税金を減らすこと」ならご満足頂けないかもしれません。でも、節税対策の目的が「会社の財務基盤を強くすること」や「社長の生涯手取り収入を増やすこと」だとしたら、満足頂けるセミナーを開催します。
- 社長の生涯手取り収入を増やしたら、会社の財務基盤が弱くなるのでは?
- そんな方法があるなら聞いてみたい。
- 顧問税理士から、そんな提案されていないぞ!
そう思った方は必ず参加して下さい。
法人税の税率がどんどん下がり、所得税など個人課税が厳しい時代に
変わっています。節税セミナーも進化するのです。
セミナーの詳細や日程については下記よりご確認頂けます。
無料メルマガ
社長の節税対策の情報を
配信中
社長と会社に資金を溜めるノウハウを受け取りませんか?
メルマガでないと公開できない税理士の本音トークをお送りします。 ビズ部の更新情報やセミナー情報も随時配信しています。
読者限定特典も用意していますので是非、登録して下さい。
(不要になったら、いつでも解除することが出来ます)