「脱税」と「節税」と「過払い税金」の関係

こんにちは、公認会計士・税理士の山口真導です。
 
この世の中には、合法な脱税があります。いや、多くの脱税は合法なんです。少なくとも形式的には。逆に、一般的に問題ないと思われている節税対策の形式を整えないことで、脱税状態になっていることもあります。
 さらに視野を広げると、本人の意図と関係なく不必要に税金を払っているということもあります。脱税の真逆のこの状態を、わたしは「過払い税金」と呼んでいます。手取りをリスクなく増やすために、この脱税と節税と過払い税金の境界線を整理したいと思います。

1.適正納税の状態とは何か?

脱税と節税と過払い税金の関係を図解すると下記のとおりです。
 

上図を見て、ご自分が下記の6つの領域のうち、どこにいるのか考えてみて下さい。税金を払い過ぎている領域からじゅんばんに説明すると次のようになります。
  1. 完全な過払い状態→必要以上に税務署を恐れて(=超保守主義)多額の納税をしている状態
  2. 中途半端な節税状態→節税意識はあるので出来る範囲で節税している
  3. 適正納税の状態→全くリスクがなく税金を最小化できている状態
  4. 税法上の不確定概念との戦い→税務リスクを考慮に入れて一歩踏み込んで節税している状態
  5. 税務署との見解の相違もあり得る状態→税務署との戦いも見据えて限界まで節税に挑戦している状態
  6. 脱税状態→意図して法律違反をしている状態
  7. 意図しない脱税状態→脱税意識ゼロだが脱税している
わたしがお会いすることが一番多いのは「2」の状態の社長、会社です。
 
我々が目指すところはまずは「3」です。良い税理士に出逢えたら「4」「5」に踏み出すことも可能です。逆に「3」を完全に実現していないのに「4」「5」にいってしまっているとしたら危険です。まずは「3」を確実に実現して下さい。わたしの実感としては、この「3」を実現していないのに「4」「5」の領域にいってしまっている社長が沢山いると感じています。(意図せずに入っていることが多いので危険です)
 
いわば「税務署に見つかっていないだけの状態」が、「6」「7」です。税理士でもない節税商品の営業マンが販売する出●●費規程とかがこの類いのものです。そんな危険な橋を渡らなくても、「3」の状態を完璧にキープできれば、充分に同等の手取り資金をゲット出来ます。(みんなが赤信号を渡っているから渡っていくという方式が、いつまでも幸を奏しているとは限りません)
 
「4」「5」はともかく「6」「7」は見つかれば、過少申告加算税(10%)は止むなし、「6」の場合は、最悪、重加算税(35%)もあり得ます。税金を減らすつもりが、逆に(違う意味の)「過払い」を発生させてしまうリスクがあることは充分に認知しておいて下さい。
 

2.「見解の相違」という節税グレーゾーン

税法にはグレーゾーンがあるという話があります。もし、グレーゾーンが存在するとしたら「4」「5」がそれに該当します。
 
しかし、実務をしていて感じるのは、グレーゾーンというより、突然黒くなるという感覚の方がしっくりきます。というのも、脱税といわれる行為のうち「5」については、少なくとも形式的には法律違反でないからです。
 
例えば、全く出社をしていない家族役員に給料を支払っている会社があったとします。これは合法でしょうか?違法でしょうか?少なくとも違法ではありません。税法の条文には、「出社しない家族に給料を払ってはいけない」という条文はないからです。
 
それに、このケースの場合に、家族役員の役員報酬を社長の役員賞与として処理していたら、税務上、なんら問題はありません。しかし、全く働いていない家族役員に給料を支払っていて損金算入していることが税務調査で見つかれば、修正申告をするように指摘される可能性は高いでしょう。その根拠は何でしょうか?
 
道義的問題?社会的責任?そんな曖昧なことで、あなたは納得して修正申告をしますか?実は、この行為も税法で直接的に禁止されてはいませんが、税法違反になる可能性はあるのです。
 
それは「租税回避の意図をもってなされた」ということです。経済合理的人間であればやらないことをすると、租税回避の意図をもってなされたことが推定されてしまうのです。もし給料の支払い先が家族でなくアカの他人だったら、働いていない相手に給料を支給するのは経済合理的人間であればありえません。つまり、この取引行為は税額を減らす以外の目的が考えられないということになるのです。
 
実際には、取締役であれば、一般社員のように毎日出勤して働く必要はありません。経営意思決定に参画したり監督していれば仕事をしていることにはなります。家族役員がそうした役員の仕事をしているかどうかについて、税務署と納税者との間で「見解の相違」が発生するポイントがここです。「見解の相違」が発生した場合、最終的に社長が納得出来るように上手く収める力量が、税理士に求められます。税理士の腕の見せ所です。
 

3.「不確定概念」というグレーゾーン

グレーゾーンは「見解の相違」だけではありません。
 
先ほどの例でいうと、ご家族が1ヶ月で3日だけお仕事されているとしましょう。そうなると次は、金額の妥当性ということが問題になるでしょう。金額の妥当性ということになれば、竹を割ったように幾らならOKということは税法上はないので、これがグレーゾーンということになるのでしょう。現に税法の条文には、「職務の対価として相当な額」であれば損金として認めると書いてあります。(そもそも役員の仕事(委任契約)に出勤日数という概念は馴染まないという考え方もあることを念の為、申し添えます)
 
その他、役員の分掌変更に伴い支給する退職金のケースで、本当に分掌変更がされたのか?という問題や、外注費と給与の区分で、請負契約なのか雇用契約なのかの判断、出張日当の金額が社会通念上妥当かどうかが、ハッキリとした基準がないので、グレーゾーンということになると思います(こういうのをまとめて税法上の不確定概念といいます)。
 
この領域に踏み出せるかどうかは、顧問税理士がしっかりと、その内容とリスクについて説明できるかどうかにかかってきます。何もしらずにこの領域に足を踏み入れている社長も多いと思いますが、最終的には税務調査で成否が決まる領域ですので、事前にリスクの度合いをしっかりと把握したうえで実行して頂きたいと思います。
 

4.意図しない脱税も良くある話

一方で、一般的な節税対策をやっていても、形式的に法律違反になっている場合は脱税です。

例えば、経営セーフティ共済に加入している場合に、別表10(7)を添付し忘れるということがあります。経営セーフティ共済で節税するには、この書類が確定申告書に添付されていなければなりませんが、セミナーの個別診断で確認すると5割近い確率で添付漏れをしています。この場合、原因はミスではありますが、法律に準拠せずに税金を低く申告しているので、上図の分類でいえば「6脱税」ということになります。

経営セーフティ共済が脱税なんて想像もできないかもしれませんが、実際に起きていることなので、節税対策は、しっかりとした知識をもって対応するようにして下さい。

5.過払い税金からの脱出法はセミナーで公開中

普通というと何かつまらなそうですが、税金に関しては「3適正納税」の領域に確実に入ることが重要です。要は手取りが増えれば良いのですから、まずはこの実現を図るのが得策です。「3適正納税」すら実現していないのに「4見解の相違」や「5不確定概念」の領域に出ていくのは不要な税務リスクを抱えるだけで得策ではありません。いま何が「3適正納税」なのかをセミナーでお伝えしています。ぜひ、受講して下さい。
 
7月は、7日(水)17日(土)です。
 

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