令和4年度税制改正の社長の節税対策への影響について

こんにちは、公認会計士・税理士の山口真導です。

令和4年度税制改正大綱が令和3年12月10日に公表されました。そこで、令和3年最後の投稿は、令和4年度の税制改正(見込)による社長の節税対策への影響についてをお伝えします。

1.令和4年度税制改正大綱通りだと出来なくなること

令和4年度税制改正大綱(以下、大綱)通りに改正されると、足場リース、ドローン・リースによる節税が出来なくなります。コインランドリー節税も出来なくなるというネット記事も見かけましたが、コインランドリー節税については、一部影響を受けるものの、大部分は中小企業経営力強化税制等の別のルールで即時償却をしているので、影響は軽微です。

根拠は税制改正大綱59ページの以下の記述です。

(4)少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度について、対象資産から、取得価額が10万円未満の減価償却資産のうち貸付け(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供したものを除外する(所得税についても同様とする。)。
(5) 一括償却資産の損金算入制度について、対象資産から貸付け(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供した資産を除外する(所得税についても同様とする。)。

2.節税のプロとしてこの改正について思うこと

こうした改正はいつかされるのではないか?とは思っていたので、まったく驚いてはいません。一つ申し上げたいことがあるとすれば、この改正がされたことで、法律を改正しないと否認できない節税対策であったことが明らかになったということです。税理士として、税法のルールに従わないものをお客様に提案してきたわけではないことが明らかになったことは、個人的には重要なことです。これからも税理士の目で厳選したものをお客様に提案してきますので、よろしくお願いします。

SNSで、この大綱をみて「ざまぁ見ろ」的なコメントも出てますが、社長がやりたいという足場リースとドローン・リースの活用を、色々な理由をつけて妨げてきた皆様には、社長の方が正しかったことをちゃと認めてあげて欲しいと思います。また、そのアドバイスにしたがって導入を断念した社長の皆様には、心より同情します。

3.代替策はあるのか?

皆さん、一番関心のあるところは、この改正に対応した代替策があるのかどうか、だと思いますが、原稿執筆時点(2021年12月30日現在)では、新しい策はまだありません。しかし、安心して大丈夫です。節税対策と国税との戦いには終わりはないからです。一つ、現時点で言えることは、冒頭ご紹介した改正内容の「主要な事業として行われていることを除く」という文言です。この判断基準が明確になってくると、様子が少し変わってくるのでは?と思います。わたしの中にも腹案はありませすが、具体的に税制改正の法案と取扱通達が出てきてから披露したいと思います。

ご安心頂きたいのは、セミナーでお伝えしているオーナー社長の節税のフレームワークが変わるような改正ではないということです。今回の改正は、このフレームワークに当てはめる具体的な策が封じ込められただけです。そういう意味では、そんなに大騒ぎするような改正ではないとも言えます。

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4.一人の市民として節税対策潰しに思うこと

最後に、足場リースもドローン・リースも節税対策といわれていますが、その本質は課税の繰延です。つまり、税金を支払うタイミングが変わるだけです。これらの対策を計画的に実行することで税金そのものを払わないという方向にもっていくのが税理士の仕事ですが、将来のことは誰にも解らないので、その実現可能性が100%になることはありません。

一方で、100%確実なことは、儲かっている会社から節税商品の会社におカネが移転するということです。100万円の節税対策で100万円分経済が回ります。今回の改正はこの100万円の動きを封じ込めて、30万円の法人税を払わせるということです。何が言いたいかというと、100万円で経済を回した方が30万円税金を払うより国民経済を底上げする効果が高いのではないか?ということです。

節税商品を販売している会社が脱税しているなら話は別ですが、少なくとも帝国データバンクの資料をみていると相当な額の納税をしています。こうした節税対策潰しが本当に国民経済のためになっているのかを、考えた方が良いと思います。

電子帳簿保存法やインボイス制度など、最近の政府のやり方は「木を見て森を見ず」感が強い話ばかりです。根本的に考えてどうすべきなのか?考える時期が来ているようにも思います。

5.令和4年の節税に向けて

令和3年は毎月3回節税セミナーを開催して、多くの方に受講を頂きました。受講して下さった皆さん、ありがとうございました。令和4年は当面毎月1回に開催回数を減らしていこうと思います。その分、先の予定を多く公開していきますので、都合の合う日程でお申し込み下さい。

お急ぎの方は有料(1時間3万円)になりますが、随時ご相談も承っています。相談サービスの利用もご検討下さい。

セミナーの次回開催は1月21日(金)開催です。

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