保険で贈与するという超賢い選択について

贈与というと現金を渡すことを連想される方も多いでしょう。
 
土地でも家でも贈与出来ますし、事業承継の場面では自社株式を贈与するなんてことも「あり得ます」。しかし、これらの資産は、贈与するより譲渡した方が税金が安くなることが多いので、贈与という選択はレアケースです。というわけで、誰もが、贈与と現金(預金)を強く結び付けていること自体は間違いではありません。
 
しかし、今回は「保険」という新しい選択肢を提案したいと思います。保険というと保険嫌いの社長さん達がザワつきますが、まぁ、冷静に最後まで話を聞いて下さい。
 
保険で贈与するスキームでは以下のような「支払済の終身保険」を使って実施します。
 
契約者:相続人、被保険者:被相続人、受取人:相続人、保険料負担者:被相続人
被相続人というのは、祖父や父親などの今財産を持っている人です。相続人は子供や孫などのこれから財産を引き継ぐ人です。支払済の終身保険を持っている被相続人の場合は、契約者を相続人に変更することで贈与を完了させることが出来ますし、今持っていない被相続人でも、一時払いの終身保険の契約をすることですぐに用意が出来ます。ですから、この方法は相続税が課税されるような財産を持っている方であれば、どなたでも活用することが出来る方法です。
 
ここで質問です。この保険の契約者を変更した時点や新たに一時払いの終身保険を契約した時点で贈与税はかかるでしょうか?
 
その答えは、契約者を変更したり一時払いの終身保険の契約をした時点では贈与税がかからないというのが正解です。しかし、ずーっと無税で財産を移転出来るというわけではありません。この保険を解約(部分解約を含む)して相続人が現金を手にした時点で贈与税が課税されるのです。また、被相続人の死亡により死亡保険金が支払われた時には、みなし相続財産として相続税が課税されることになります。
 
仮に、相続人が、毎年解約する金額を110万円以内に抑えたとすると贈与税は結局ゼロです。1千万円の終身保険であれば10年間で無税で資産移転が出来るということです。仮に全部解約する前に、被相続人がお亡くなりになると、今度は保険金が相続財産の一部になります。この保険金は相続税法上の生命保険控除(法定相続人の人数×500万円)の対象になります。相続税でも得が出来るという寸法です。
 
さて、この贈与の対象となった保険ですが、解約の意思決定権限があるのは、保険料を負担した被相続人ではなく契約者である相続人です。相続人が自分の意思で部分解約をすると、そのたびに、被相続人から相続人への資産の移転が行われて、贈与税が発生するという仕組みになります。通常、贈与は、渡す側と受け取る側で贈与の意思表示が合致した場合に成立しますが、保険を活用することで、相続人の一存で贈与を発生させることが出来る様になるのがポイントです。
 
実は、この方法を採用する最大のメリットは、この被相続人である祖父や父の意思表示を必要せずに贈与が出来るところにあります。というのも、被相続人が認知症を発症してしまうと、その後は贈与契約を成立させることが出来ず、あらゆる生存贈与の路が閉ざされることになりますが、この方法であれば、そうしたリスクを無くすことが出来るのです。
 
 
これと似た方法で、相続税の納税資金を確保するために活用する保険料贈与プランという方法があります。どちらかというと、この方法の方が有名で、良く活用されています。このケースでは、被相続人から現金を相続人に贈与して、その資金を使って、相続人が以下のような内容の終身保険の契約をします。
 
契約者:相続人、被保険者:被相続人、受取人:相続人、保険料負担者:相続人
 
このケースを採用するのは、被相続人が死亡した際に相続人が受け取る保険金は一時所得扱いになり、2分の1課税の結果、納税資金をたくさん手元に残す事が出来るからです。
 
一方で、「保険料」贈与プランの場合、次のようなデメリットがあります。
  • 保険料相当の現金の贈与を毎年受けるわけですが、途中で被相続人が認知症になった場合に、贈与を継続することが出来なくなり、結果的に保険料の払い込みが出来ず、納税資金を貯めることが出来ない。
  • 毎年、保険料の贈与に関して、贈与契約書を作成したり細かい事務的負担が必要で最悪贈与を否認されるリスクがある

このように説明すると、「保険」の贈与が良くて「保険料」の贈与は良くないみたいに思われてしまうかもしれませんが、それぞれ適した場面という者があります。

 
その重要な判断要素は、被相続人の年齢です。
 
被相続人がまだ若くて認知症のリスクが低い場合は「保険料」贈与プランでコツコツと終身保険で複利効果を活かしながら納税資金を貯めていくのが良いでしょう。一時所得になるので手元に残る資金も多いです。逆に、被相続人が高齢の場合には、認知症のリスクもありますし、払済の終身保険の用意も比較的しやすいはすですので、「保険」を贈与することで、確実に相続人に課税を避けながら資金を渡していくのが良いと思います。
 
 
結局、上手にやろうと思えば機械的に対応出来るものではなく、お客様の状況に応じた対応が必要になるということです。但し、それを実現するためには、その裏付けとなる網羅的な「メニュー」が必要です。わたしの記憶に任せていたら、絶対漏れが出てしまいますからね(最近本当に人の名前が覚えていられない!!)。
 
というわけで、こうしてセッセと書くブログをまとめて、近いうちに「相続・贈与税対策のすべて」というビズ部の記事を書きあげますので、期待していて下さい。
 
※保険料をクレジットカードで払うというオプションも忘れずに。クレカのポイントを入れると利回りが凄いですよ^^;
 
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【参考】生命保険を使って、生前贈与(暦年贈与)を行う方法
【参考】生命保険活用のウラ技!「保険料贈与プラン」で税負担を軽減する方法とは(その1)

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